Web作家STAGE総特集 vol2
contents(後編)  「Web作家STAGE」総特集の後編にあたる今回は、現在、配信中の最新登場作品を含めたラインナップをお送りします。Web作家に登録した段階では、まだアマチュア作家だった著者が、Boon-gate.com編集部にその潜在性を認められ、最初の原稿を何度も書き直し、推敲を重ね、「Web作家STAGE」登場に相応しい作品にまで完成度を高めていった過程を感じ取ってください。厳しい選考を通過した後も、作品が電子書籍としてみなさんの前に姿を現わすまでには、多くの労力と時間が必要とされます。だからこそ、完成した時の喜びと感動は、表現し難いほど大きいのです。でも「Web作家STAGE」にサイトアップされた日から、作品は著者や編集部の手を離れ、読者のものになります。作品を育てていくのは、読者1人1人の目と心なのです。 Boon-gate.com編集部は、様々なジャンルから新たに優れた作品が発掘され、「Web作家STAGE」に顔を並べる日が来ることを願っています。次に「Web作家STAGE」に登場するのは、あなたの作品かもしれません。今後も「Web作家STAGE」に期待し、注目してください。
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雨滴の音 雨滴の音表紙
 淘山竜子さんの筆は、情感豊かで瑞々しい情景描写と、心の機微に触れる人物描写に彩られ、流麗に進んでいきます。作品のバックグラウンドには常に雨の風景があります。時にはごうごうと激しさを増し、時にはしとしとと静かに降りつづける様々な雨滴の音……。白い犬、青い砂時計など、物語の行く末を示唆する象徴を巧みに絡めながら、対照的な2人の女性の心理を丹念に描いた作品です。
 有子は幼い日に見た白い犬を記憶している。それは雨の日だった。白い犬は有子の横を通り抜ける際、一時も彼女から目を離さなかった……。有子はペンフレンドの享子に会うために、東京から岡山へ向かう。おとなしい性格で風景画を描くことが好きな有子と、明朗快活な性格で魅力溢れる容姿を持つ享子。対照的に見える2人だが、それは表向きの性格でしかない。享子にはまだ有子に見せていない陰の部分があった。享子の恋人敦史を含めた3人のあいだには不思議な均衡が保たれている。雨滴の音とともにそのバランスが崩れる時は来るのだろうか。
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魂の緒 魂の緒表紙
 淘山竜子さんのWeb作家STAGE登場2作品目となる『魂の緒』。前作『雨滴の音』に続く、白い犬3部作の最新作です。大学生活を送りながら、恋愛に、就職に、将来に、様々な不安を抱かえた女性を主人公とし、記憶の裏側に葬り去られた過去との再会、心の奥に潜む自らの残虐性と直面した際の心理を巧みに描いた作品です。
 友美は夢で白い犬を見た。幼い紀州犬が頭上高く聳えるビルに圧倒されながら、ザクザクと足を動かし目的地に向かう往来の人々をよけて、小さくなって歩いている。……友美には道央という恋人がいた。道央は自分の気が向いた時にしか連絡をよこさず、いつもそっけない態度ばかりだ。それでも友美は道央に不満があるわけではなかった。逆に道央に対し「自分がありのままの姿を見せていないのか」という不安に襲われる。友美には封印された過去があった。母は友美に何かを隠している。そして道央は、はじめて感情を露わにし、「責任取れないんだったら、友美が死ぬしかないんじゃないの」という言葉を友美に投げつける。その言葉が意味するものは……。
 現在、Web作家STAGEで無料ダウンロード版を配信中。5月1日からは、白い犬三部作最後の作品『雲に続く坂』(仮題)を加え500円(税込み)で販売します。
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赤いワンピースの少女は踊る 赤いワンピースの少女は踊る表紙
 佐藤彰純さんの簡潔な文体が作品に与えるスピード感は、頁をめくるごとに加速度を増していきます。何より筆の勢いを感じさせる短編集です。人間の陰なる感情をモチーフとし、誰もが持つ裏側の心理を巧みに暴き出していきます。自己の内面に鋭くメスを入れ、目を背けさせることを許さない。そんな執筆姿勢が貫徹されています。登場人物の虚無感や焦燥感を行間からシュールに伝える手法は卓抜しています。
 ――少女は何事もなかったかのようにその観客たちに一礼し、舞台を去った。僕は身動きもしがたいほどの不快感の中で、空になった舞台をいつまでも見上げていた。――大手の出版社で広告営業マンとして疾走していた“僕”は、ある日、自宅近くの駅に向かう路地で理由もなく立ち止まり、そこから1日たりとも出社しなくなった。解雇通告が郵送されてきた翌日、半月ぶりにオフィスを訪れると、そこには以前と全く変わらない光景が……自分一人いなくなっても滞りなく会社は回っていることを目の当たりにした“僕”に、社長は餞別といって1枚のチケットを渡す。それを手に僕が向かった先には……。表題作『赤いワンピースの少女は踊る』他、全13編を収録。
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アンおばさんのクリスマス アンオバサンノクリスマス表紙
 作品全体からトム・グレンさんの温かな人柄が伝わってくる童話です。色の表現ひとつを取ってみても、ミルク色の猫、サクランボ色の屋根、キャラメル色の髪、若草色のエプロン、海色の瞳など、読者の想像力をかき立てる著者独自のセンスが詰まっています。
 クリスマスを題材としながらも、主役はサンタでも子供たちでもなく、60歳のアンおばさんです。何十年も前に伝え忘れたあの人へのひとこと。ずっと心の隅に引っ掛かっていた思いが、クリスマスの日に花開くのでしょうか。
 アンおばさんのもとに、封筒のはじっこが凍った手紙が届きました。アンおばさんには、その手紙の差出人がわかっていました。クリスマスには家族みんなでパーティーをします。でも、アンおばさんは部屋から出てきません。孫のルロイや息子のジョンが心配して部屋を覗きにきますが、アンおばさんと猫のティレンはぐっすり眠っています。こんなことはこの年がはじめてです。でも、それにはちゃんとした理由がありました。アンおばさんも昔はルロイのように子供だったのです。きっと、この日だけは、子供の頃の自分に戻っているのでしょう。
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TUK TUK in Thailand TUK TUK in Thailand表紙
 写真家の三澤徹也さんは、現在までの約10年間で数回にわたりタイを訪れ、ある1つの被写体を撮り続けてきました。それがトゥクトゥク(TUKTUK)です。タイの街角を颯爽と走り抜けていく三輪自動車であるトゥクトゥクは主にタクシーとして活躍しています。もともと日本から輸出されていたミゼットが、タイで独自の進化を遂げ、現在はエンジン以外全ての部品がタイ国内で生産されています。まさにタイでしか見ることができない貴重な乗り物なのです。
 トゥクトゥクがまるで生きているかのように静と動を撮り分けた技術、トゥクトゥクを浮かび上がらせたセンス溢れる構図、トゥクトゥクとタイの人々との関わりを雄弁に語る配置には、タイを知り尽くした三澤徹也さんならではの“この瞬間”が見事に表現されています。
 現在、Web作家STAGEで無料ダウンロード版を配信中。5月15日からは完全版を500円(税込み)で販売します。フルサイズでの『TUKTUK in Thailand』をお楽しみください。
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Web作家STAGE総特集vol.1は
Special Back number vol.31でご覧になれます。

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